賃貸不動産経営管理士試験の法令系、その第2回です。敷金、賃料の供託、修繕、必要費・有益費、更新、保証契約、共有、工作物責任と請負、相続——民法まわりが一気に来る範囲です。
ここは受験生がいちばん失点する分野だと思います。範囲が広く、条文の理解が必要で、しかも実務の感覚と法律の結論がずれることがあるからです。
ただ、出題される論点はかなり決まっています。広く浅く手を出すより、頻出のところを確実にするほうが点は伸びます。
優先して固めるべき論点
- 敷金 … いつ返還義務が生じるか(明渡しとの先後関係)、賃貸人が変わったとき・賃借人が変わったときに敷金はどうなるか。ここは毎年のように出ます
- 保証契約 … 個人根保証は極度額を定めなければ無効。書面が必要であること。情報提供義務。改正民法の目玉なので狙われます
- 必要費と有益費 … いつ請求できるかが違います。必要費は直ちに、有益費は契約終了時。ここを入れ替えた選択肢が定番です
- 造作買取請求権 … これを排除する特約は有効です。「特約は無効」と書いてあれば誤りだと分かります
- 修繕 … 賃貸人の修繕義務と、賃借人が自分で修繕できる場合の要件
- 相続 … 賃借人が亡くなったとき、賃借権はどうなるか
間違えやすいポイント
- 「同時履行か、先履行か」 … 敷金返還と明渡しの関係は、実務の感覚とずれやすいところです
- 特約が有効か無効か … 造作買取請求権は排除できる。一方で、借主に一方的に不利な特約が無効になる場面もある。どちらのパターンかを区別してください
- 「賃貸人」と「賃借人」の読み違え … 焦っていると本当に取り違えます。問題文で主語に印をつける習慣をつけてください
- 共有 … 保存行為・管理行為・変更行為で、必要な同意の要件が変わります
以下、暗記事項をまとめています。過去問を回しながら、間違えた箇所をここで確認する使い方が効率的です。
賃貸管理士合格に向けての暗記事項まとめノートです。法令系の分野になります。合格には理解と暗記が必要です。過去問をやりながらこちらの暗記まとめノートでしっかりと暗記していって合格を目指してください。
目次
敷金について
賃料の供託について
修繕
必要費、有益費、造作物買取請求権
更新
保証契約
共有
工作物と請負
相続
敷金について
(敷金契約は賃貸借契約とは別の契約)敷金契約のみの合意解約可能
未払い賃料債務には当然敷金は充当される。※差押えよりも未払い賃料に充当が先
賃借人は賃貸人に対し、賃料債務の弁済にあてることの請求はできない
※賃貸人からの相殺は可能
敷金によって担保されるもの
不払い賃料
賃借人の毀損・汚損に対する損害賠償
賃借人が無権限で行った工事の復旧費
契約終了後から明け渡しまでの賃料相当額の損害賠償債務
転貸している場合・・・原賃貸人が転貸借契約を継承する場合、敷金返還義務も継承
賃料の供託について
供託は弁済と同じ効果賃貸人が賃料の受け取りを拒否した場合でも、賃料支払い義務は消滅しない
ただ、賃貸人が受領を拒んだ場合は供託することができる(供託したものは遅滞なく債権者に供託の通知)
賃貸人の相続人に対しても本当に相続人かどうか明らかでない場合は供託できる
※弁済供託がされた場合、賃貸人はいつでも供託金を受領できる(賃借人の承諾不要)
(弁済の充当は任意規定)債務者はどの債務に充当するかを指定できる。債権者は債務者が充当を指定しない場合はいずれの債務に充当するかを指定できる。
充当の順番・・・①費用 ②利息及び元本
※賃借人の賃料支払いの遅延に対しての遅延損害金は年3%
修繕
〈賃貸人〉
賃貸人は転借人に対しては修繕義務を負う規定はない
天変地異等不可抗力で生じた破損も賃貸人は修繕義務がある(修繕不能な場合は貸主に修繕義務はない)
賃貸人の修繕義務は使用に必要な共有部分にも生じる
〈賃借人〉
修繕を要するときは遅滞なく賃貸人に通知
賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは賃借人は拒むことができない
※賃借人には修繕を受忍する義務がある(保存を超える行為についてはなし)
賃借人が修繕をすることができる場合
① 賃貸人に通知し、賃貸人が知ったにもかかわらず修繕しない
② 急迫の事情があるとき
必要費、有益費、造作物買取請求権(排除する特約は有効)
賃貸人の負担に属する必要費を賃借人が払った場合は直ちに代金の償還の請求できる※使用貸借の場合は借主が負担
支払われない場合は留置権を行使でき、物件の明け渡しを拒むことができる
造作物買取請求権は賃借人が買い取り請求の意思表示が賃貸人に到達すれば成立(賃貸人の承諾不要)
※有益費は契約終了時に物件の価値の増加がある場合、支出した費用または増額分を返還
更新
合意更新は書面いらず、当事者の意思があれば有効1年前から6か月前までに賃借人に対して更新をしない旨を通知しなければ更新となる
合意更新の場合、終了前6か月時点での通知は不要
※更新料の請求には賃貸借契約書に更新料条項が必要(更新事務手数料特約は有効)
※管理受託契約の更新で当初契約と異なる内容で更新する場合、再度交付と説明が必要
保証契約
書面で行う(法人も) 債務者が反対していも保証人になれる更新後も保証人は継続される(信義則に反するとみとめられる場合の除く)
保証債務は利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてを含む
主たる債務者又は保証人が死亡した場合、主たる債務の元本は確定(死亡後は保証債務を負わない)
〈根保証〉
連帯保証契約であるか否かにかかわらず、極度額を定めなければ効力を生じない
〈家賃債務保証業者登録制度〉
保証人の代わりに法人が家賃を保証する制度
それに伴って保証業者は国土交通大臣の登録を受けることができる(任意)
※家賃保証業者は事務所ごとに帳簿の保存が必要
共有
賃貸人が共有者である場合、賃貸借契約の解除は過半数の同意が必要(管理行為)工作物と請負
請負の目的物の引き渡しと報酬の支払いは同時履行※完成と報酬の支払いは完成が先履行相続
において、賃借人に子らの相続人がいる場合は子らが賃借権を相続相続人がいない場合、その事実上夫婦又は養親子と同様の関係の同居者は賃借人の権利義務を承継する(反対の意思がない限り)
使う教材について
この記事は要点の確認用です。土台になるテキストと過去問集は、必ず2026年度(令和8年度)版を手元に置いてください。この試験は法改正の反映が多く、古い版で覚えた内容がそのまま失点になります。
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独学で不安なら、講座という選択もあります
この試験は独学でも十分に合格できます。実際、市販のテキストと過去問集だけで受かる方は多くいます。
ただし独学には、自分で優先順位を決めなければならないという負担があります。どの分野に時間を配分するか、法改正がどこに反映されたか、捨ててよい論点はどこか——これを判断する時間も、実は勉強時間の一部です。
残り時間が少ない方ほど、この「判断」を人に任せる価値が大きくなります。試験までの期間が短いなら、費用をかけて要点を絞ってもらうほうが、結果的に安く済むこともあります。
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独学で進めるか講座を使うか迷っている段階でも、講座の内容と費用を見ておくと判断しやすくなります。
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直前期の使い方
この範囲だけは、暗記より先に「なぜそうなるのか」を一度つかんでおくほうが結果的に速いです。理由を知らずに結論だけ覚えると、少し角度を変えられただけで崩れます。
そのうえで、直前期はこの回し方に切り替えてください。
- 過去問を解く
- 間違えた選択肢のキーワードで、このページ内を検索する(スマホなら「ページ内検索」)
- 該当箇所だけ読み直す
民法は完璧を目指さないこと。ここに時間をかけすぎて管理業法系が手薄になるのが、いちばんもったいない負け方です。
ほかの分野の暗記ノート
2026年度の試験は申込が9月30日までです。学習計画は残り3か月で伸びる科目の優先順位と過去問の回し方にまとめています。
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