管理受託契約のルールをひと目で|200戸・業務管理者・重要事項説明・契約時書面の4本柱

賃貸住宅管理業法というとサブリース規制ばかり注目されますが、試験でも実務でも同じくらい重要なのが管理受託契約のルールです。

この記事では、登録・業務管理者・重要事項説明・契約時書面という4本柱を、対応関係が頭に残る形で整理します。

まず全体像

内容根拠
①登録管理戸数200戸以上なら登録が必要法3条
②業務管理者営業所または事務所ごとに1名以上配置法12条
③重要事項説明契約締結前に書面を交付して説明法13条
④契約時書面契約を締結したときに書面を交付法14条
⑤財産の分別管理自己の固有財産と、受領した金銭を分けて管理法16条
⑥定期報告1年を超えない期間ごとに委託者へ報告法20条

③と④は別の義務です。「重要事項説明書を渡したから契約書はいらない」ということにはなりません。サブリース規制と同じ構造なので、まとめて覚えると混乱しません。

①登録:200戸が分かれ目

管理戸数が200戸以上の賃貸住宅管理業者は、国土交通大臣の登録が必要です。200戸未満は任意登録となります。

  • 登録の有効期間は5年。更新が必要です
  • 任意で登録した業者も、登録した以上は法の規制を受けます
  • 登録なしで200戸以上を管理すると罰則の対象になります

2つ目を落とさないでください。「200戸未満だから何も適用されない」ではなく、登録すれば規制がかかるという関係です。

②業務管理者:営業所ごとに1名以上

営業所または事務所ごとに、1名以上の業務管理者を配置しなければなりません。

業務管理者になれる者
賃貸不動産経営管理士(登録試験の合格者で、要件を満たす者)
宅地建物取引士で、指定の講習を修了した者

ここが賃貸不動産経営管理士という資格の存在意義です。試験に合格して登録すれば、業務管理者になれる。だから事業者にとって必要な資格になっています。

試験で狙われるのは次の3点です。

  1. 「事業者ごとに1名」ではない営業所または事務所ごとです
  2. 他の営業所との兼任はできない
  3. 業務管理者が欠けた営業所では、新たに管理受託契約を締結できない

3つ目がよく出ます。欠員のまま契約を取ってはいけない、という規制です。

③契約締結前の重要事項説明

管理業者は、契約を結ぶ前に、管理業務を委託しようとする者(オーナー)に対して、書面を交付して説明しなければなりません。

説明する主な事項は次のとおりです。

  • 管理業務の対象となる賃貸住宅
  • 管理業務の内容と実施方法
  • 報酬の額、支払時期、支払方法
  • 報酬に含まれていない費用で、管理業者が通常必要とするもの
  • 管理業務の一部の再委託に関する事項
  • 責任および免責に関する事項
  • 契約期間、契約の更新・解除に関する事項
  • 入居者への周知に関する事項

また、説明から契約の締結までに1週間程度の期間を置くことが望ましいとされています。その場で押印を求める進め方は想定されていません。

説明する人は誰か

ここが混乱するところです。管理受託契約の重要事項説明は、業務管理者が行わなければならない、とはされていません。

ただし、業務管理者の管理・監督のもとで行うことが求められ、一定の実務経験を有する者などが説明することが望ましいとされています。

宅建業法の重要事項説明(宅地建物取引士が行う)と混同しないでください。ここは制度が違います。試験でよく引っかけられます。

IT重説について

管理受託契約の重要事項説明は、一定の要件を満たせばテレビ会議等(IT重説)で行えます。

  • 書面を事前に送付しておく
  • 説明者と相手方が、図面等の書類と説明の内容を十分に理解できる程度に映像が鮮明で、双方向でやりとりできる状態
  • 相手方が承諾している

また、書面についても相手方の承諾を得れば電磁的方法による提供が可能です。ただし承諾は書面等で得る必要があります。

④契約締結時の書面交付

契約を締結したときは、遅滞なく書面を交付します。記載事項には、管理業務の内容・実施方法、報酬、契約期間、契約の更新や解除などが含まれます。

③と④で記載事項が重なりますが、義務としては別物です。ここを1つにまとめて覚えると、選択肢を切れなくなります。

⑤財産の分別管理・⑥定期報告

要点
分別管理管理業者の固有財産と、家賃等として受領した金銭を分けて管理する。帳簿上も区別できるようにする
定期報告1年を超えない期間ごとに、管理業務の実施状況・入居者からの苦情の発生状況などを記載した報告書を交付して説明

定期報告は「1年を超えない期間ごと」と「契約期間の満了後」です。「毎月」ではありません。数字の引っかけとして出ます。

サブリース規制との対応表

管理受託契約サブリース(特定賃貸借契約)
契約前の重要事項説明あり(法13条)あり(法30条)
契約時の書面交付あり(法14条)あり(法31条)
誇大広告等の禁止あり(勧誘者も対象)
不当な勧誘等の禁止あり(勧誘者も対象)
登録との関係登録した業者に適用登録の有無を問わず適用

最後の行が最大の違いです。サブリース規制は登録の有無にかかわらずかかります。管理受託契約のルールは、登録業者に対する規制です。

よくある質問

Q. 200戸の数え方は
管理戸数で数えます。数え方には細かい取扱いがあるので、実務では国土交通省の解釈・運用の考え方を確認してください。

Q. 業務管理者は他の業務と兼務できますか
他の営業所の業務管理者を兼ねることはできません。同じ営業所内で他の業務を兼ねること自体が直ちに禁止されるわけではありませんが、業務管理者としての職務を果たせることが前提です。

Q. 再委託はできますか
一部の再委託はできますが、全部を再委託することはできません。ここも頻出です。

Q. 試験ではどちらが多く出ますか
管理受託契約とサブリースはどちらも出ます。上の対応表を、白紙から書けるようにしておくと確実です。

まとめ

  • 登録が必要なのは管理戸数200戸以上。有効期間は5年
  • 業務管理者は営業所または事務所ごとに1名以上他の営業所との兼任は不可
  • 欠員の営業所では新たな管理受託契約を締結できない
  • 重要事項説明は契約締結前1週間程度の期間を置くことが望ましい
  • 説明者は業務管理者に限定されていない(宅建業法と混同しない)
  • 定期報告は1年を超えない期間ごと。毎月ではない
  • 一部の再委託は可、全部の再委託は不可

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