サブリース規制をひと目で|特定転貸事業者と勧誘者、4つの規制と「誰が何を義務づけられるか」

「30年一括借り上げ、家賃保証」——この言葉でアパートを建て、数年後に家賃を下げられて揉める。この繰り返しを止めるために作られたのが賃貸住宅管理業法のサブリース規制です。

賃貸不動産経営管理士試験でも毎年必ず出るところです。この記事では、誰が規制されるのか4つの規制を、実務で使える形で整理します。

規制されるのは2者

誰のことか
特定転貸事業者いわゆるサブリース業者。オーナーから借りて、入居者に転貸する事業者
勧誘者特定転貸事業者から依頼を受けて勧誘を行う者。建設会社、不動産業者、金融機関、コンサルタントなど

ここが最大のポイントです。規制の対象は、サブリース業者だけではありません。「建てませんか」と持ちかけた側も規制されます。

実際のトラブルは、サブリース業者本人ではなく、アパートを建てさせる側の説明で起きてきました。だから勧誘者まで対象に入っています。

試験では「勧誘者は規制の対象外である」という形の誤りの選択肢がよく出ます。

4つの規制

内容対象
①誇大広告等の禁止家賃、支払方法、維持保全の費用分担、契約解除の条件などについて著しく優良・有利と誤認させる表示をしてはならない事業者+勧誘者
②不当な勧誘等の禁止事実を告げない・不実のことを告げる行為の禁止。威迫、迷惑な時間の電話、勧誘を断った相手への再勧誘なども禁止事業者+勧誘者
③契約締結前の重要事項説明契約を結ぶ前に、書面を交付して説明する事業者のみ
④契約締結時の書面交付契約を結んだときに書面を交付する事業者のみ

①②は勧誘者も対象、③④は事業者だけ。ここが試験で最も問われる線引きです。勧誘者は契約の当事者ではないので、説明や書面交付の義務は負いません。

①誇大広告等の禁止 の中身

禁止されるのは、次のような表示です。

  • 「家賃保証」「空室保証」だけを大きく書き、家賃減額の可能性に触れない
  • 「30年一括借り上げ」と書きながら、数年ごとに家賃を見直す条件を小さくしか示さない
  • 実際には条件があるのに、「絶対」「必ず」と断定する
  • 解約の条件(事業者からの解約があり得ること)を示さない

「家賃保証」という言葉自体が禁止なのではありません。それに付随する条件を、誤認させない形で示していないことが問題になります。

②不当な勧誘等の禁止 の中身

とくに重要なのが「事実を告げない(故意の不告知)」「不実のことを告げる(故意の不実告知)」です。

NG例何が問題か
「家賃は下がりません」不実告知。借地借家法上、減額請求はあり得る
減額の可能性を聞かれて答えをはぐらかす不告知
「今日中に決めてもらわないと」と迫る威迫・困惑させる行為
断られたのに何度も訪問する再勧誘の禁止に抵触

この違反には罰則があります。事実不告知・不実告知は、6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金とされています。

③契約前の重要事項説明

特定転貸事業者は、契約を結ぶ前に、オーナー(賃貸人になる者)に対して書面を交付して説明しなければなりません。

説明すべき事項には、次のようなものが含まれます。

  • 家賃の額、支払期日、支払方法、家賃の改定に関する事項
  • 維持保全の実施方法と、費用の分担
  • 契約期間、契約の解除に関する事項
  • 借地借家法により、賃料の減額請求ができること
  • 事業者からの解約について、借地借家法の適用があること

下2つが核心です。「30年保証」と言われても、借地借家法によって減額請求はできてしまう。そのことを、契約前に必ず伝えなければなりません。

また、説明から契約締結までに1週間程度の期間を置くことが望ましいとされています。その場で押印させる進め方が想定されていません。

④契約締結時の書面交付

契約を結んだときにも、遅滞なく書面を交付します。③と④は別の義務です。「重要事項説明書を渡したから契約書はいらない」ということにはなりません。

③④の違反には50万円以下の罰金、①の誇大広告等の違反には30万円以下の罰金が定められています。

試験で狙われる4つの引っかけ

  1. 勧誘者が①②の対象かどうか対象です
  2. 勧誘者が③④の義務を負うか負いません
  3. 登録が必要かどうか … サブリース規制は賃貸住宅管理業の登録の有無にかかわらず適用されます
  4. 相手方が誰か … ③の重要事項説明の相手はオーナー(賃貸人になろうとする者)。入居者ではありません

3番を落とす人が多いです。「登録していないから規制されない」ということはありません。

オーナー側から見た確認点

  • 家賃の見直しは何年ごとか。「30年一括」の中身を必ず読む
  • 免責期間(引渡し後、家賃が支払われない期間)があるか
  • 原状回復や修繕の費用は誰が負担するか
  • 事業者側から解約できる条件
  • 重要事項説明を受けてから、考える時間をもらえたか

最後が判断材料になります。その場で押印を求める相手は、規制の趣旨を理解していません。

よくある質問

Q. サブリース契約そのものが規制されたのですか
契約が禁止されたわけではありません。勧誘と説明の場面が規制されたという理解が正確です。

Q. 家賃保証は嘘だったということですか
そうではありません。借地借家法により賃料減額請求ができるため、「絶対に下がらない」とは言えない、ということです。

Q. 賃貸住宅管理業の登録との関係は
別の制度です。登録は管理戸数などの要件で必要になるもので、サブリース規制は登録の有無を問わず適用されます。

Q. 試験ではどの条文番号まで覚えますか
条文番号そのものより、「誰が」「何を」義務づけられているかの対応関係を優先してください。そこが問われます。

まとめ

  • 規制の対象は特定転貸事業者と勧誘者。建設会社などの勧誘者も入る
  • ①誇大広告等の禁止・②不当な勧誘等の禁止は勧誘者も対象
  • ③契約前の重要事項説明・④契約時の書面交付は事業者のみ
  • 説明事項の核心は家賃改定・費用分担・解除・借地借家法による減額請求
  • 事実不告知や不実告知には拘禁刑または罰金の定めがある
  • 登録の有無にかかわらずサブリース規制は適用される

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サブリース規制は、「誰が・どの義務を負うか」の表を頭に入れているかどうかで得点が決まります。テキストを読み流すだけでは、勧誘者が①②だけの対象という線引きが定着しません。ここは講義で一度、対応表として整理してもらうと一気に固まります。試験まで残り2か月半、独学で詰まっている論点があるなら、直前期向けの講座で優先順位ごと組み直すほうが早いです。
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